妊婦も基本的に歯科治療は行えます。一番いいのはかかりつけの産婦人科の先生に「歯の治療をしていいですか?」と一言声をかけておくのが良いでしょう。そうすれば個々の体調に応じたアドバイスをくれるでしょう。まあでも歯科においても歯科医師は一般的に注意する点くらいはわかっていますので、特に心配することなく歯科治療を行えます。治療内容によっては産婦人科の担当医と連絡を取り合って行うこともあります。但し、痛くもない抜きにくい親知らずの抜歯などは産後に行った方がよいでしょう。痛い歯の治療は我慢していると母体にストレスがかかり、胎児の発育にも影響しかねませんから、痛い歯の治療は妊娠の前期、中期、後期にかかわらず応急処置で可能なものは、応急処置で行ったり、正規の処置まで行った方がいいものはそうしたりします。特に治療に当たり妊娠中の方が心配なものは、次の三つでしょう。
1、歯の治療時の麻酔薬は大丈夫か?
2、レントゲンをとってもだいじょうぶか?
3、歯科で出された薬を飲んでも大丈夫か?
大きく分けてこの3つがよく妊娠中の方から実際治療していて受ける質問です。結論から言えばこの三つとも大丈夫です。簡単に理由を述べますけれど1の麻酔に関しては歯科に使う量くらいでは問題ないことがわかっています。2のレントゲンも同じです。レントゲンは10年位前までほとんどの歯科でX線の量がデジタルレントゲンの10倍もあるフィルムレントゲンで撮影されてきましたが、それでも問題ありませんでした。今ではデジタルレントゲンの普及で当院も含めて半分くらいの歯科ではX線の量がフィルムレントゲンの10分の1程度のものを使用しているのでこれもご心配いりません。3については妊娠中でも特に問題のない薬を出しますが、どうしても心配な方はかかりつけの産婦人科からもらってくださいと言います。結局は薬の名前は違っても歯科から出される薬と同じ系統のものになります。だから3についても心配いりません。もし妊娠中で虫歯の治療や歯の掃除をご希望される方は妊娠の中期(安定期ともいう)5~8ヶ月位を目安に歯科治療をしましょう。痛い方はこの限りではありません。