小児の指しゃぶり

小児の歯科検診に行った時、よく保護者の方から聞かれる質問の一つに”指しゃぶりをよくするんですけどどうしたらいいですか?”というのがあります。

これにはまず大まかに年齢的に分けて考える必要があります。

1.0~1歳くらいまで

2.1~3歳くらいまで

3.4,5歳以降

1は生理的指しゃぶりといって本来人間が原始的に備わっているもので特に心配はいりません。出生時にすでに”吹いダコ”が指に見られることもあります。

2は心理的指しゃぶりといいます。一歳を過ぎるころから歩き始める子供は外界の物に興味を持ち始め、探求心が旺盛になります。これは自立心の芽生えでもあり、徐々に子供が母親から離れていきます。急に親と離れるのではなくて、その距離は徐々に広がっていきます。つまりは一人遊びから遊びから徐々に集団の遊びへ変化していきます。この時期に入り外的な対象物に探求心を覚え遊びが広がっていく子供には比較的早期に指しゃぶりがなくなってきます。遊びの中に入る準備のできないものに指しゃぶりが持続するすることになります。

3は上記の遊びの中にうまく入れない子供に指しゃぶりが持続し4,5歳以降も癖として固定化され意味のない問題行動としての指しゃぶりになってしまったものであります。

つまりは4,5歳以降指しゃぶりをしている子供は要注意ということになります。歯並びに影響するくらい指をしゃぶっている場合は、歯並びの異常が起こり舌癖、口呼吸、構音障害が起りやすい。指しゃぶりにより上下の歯の間に隙間があいてくると、その隙間に舌を押し込んだり、飲み込むときに舌で歯を強く押し出すような癖が出やすくなる。このような癖を「舌癖」という。舌癖のある子供は話をするときに前歯の隙間に舌が入るため、サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌足らずな発音となることがある。上の前歯が突出してくると、口唇を閉じ難くなり、いつも口を開けている癖がつき、鼻や咽の病気がないのに口呼吸しやすくなる。指しゃぶり対策としては、保護者は子どもの生活のリズムを整え、外遊びや運動をさせてエネルギーを十分に発散させたり、手や口を使う機会を増やすようにする。
 スキンシップを図るために、例えば寝つくまでの間、子どもの手を握ったり、絵本を読んであげたりして、子どもを安心させるようにする等であります。